私たちの身体には、異物(ウイルスや細菌など)が体内に入ってきた際に身体を守るための防衛機能(免疫)が備わっています。
この免疫反応がある特定の異物(ダニや花粉など)に対して過剰に起こることをアレルギー反応といいます。
この反応が鼻の中で起こると鼻水(鼻汁)やくしゃみ、鼻づまり(鼻閉)などの症状が現れます。
原因
アレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)は個人によって異なりますが、アレルギー性鼻炎の原因となる代表的なものとして以下のものが挙げられます。
アレルゲンの種類により症状が出現する時期が異なります。
花粉(スギ・ヒノキ・ブタクサなど)
花粉が飛散する時期のみに症状が出現します(季節性)。
ハウスダスト・ダニ
季節とは無関係に症状が出現します(通年性)。
検査
症状の原因がアレルギーであるのか、そうでないのかを調べるために鼻汁を採って検査します(鼻汁好酸球検査)。
また血液検査でアレルギーの原因となる物質を特定することもできます(RAST検査)。
治療
アレルギー性鼻炎の治療法は抗原除去と回避、薬物療法、アレルゲン免疫療法、手術療法に分けられます。
それぞれの治療法について説明します。
抗原除去と回避
ハウスダスト、ダニによるアレルギーでは掃除や寝具の洗濯によるアレルゲンの除去が大切です。
また、スギなどの花粉によるアレルギーでは花粉が飛散している時期の外出時にマスクやメガネ(アレルギー性結膜炎に対して)を着用することで症状を軽減させることができます。
薬物療法
最も一般的な治療法で、鼻炎に関連する諸症状を緩和します。
内服薬や点鼻薬を使用します。
アレルゲン免疫療法
アレルギーの原因となる物質を体内に少しずつ体内に取り入れて体を徐々にアレルゲンに慣らしていく治療法です。
3~5年と長期間の継続治療が必要です。
現在、スギ花粉、ダニに対する舌下免疫療法が行われています。
手術療法
アレルギー性鼻炎を治癒させる治療ではありませんが、鼻炎に関連する諸症状を強く抑制することができます。
薬物療法で十分な効果が出ない場合、鼻腔形態異常を伴う場合に適応となります。
患者さんのニーズや社会的背景(受験や出産など)によっても手術適応を考慮します。
手術には以下のようなものがあります。
(鼻アレルギーガイドライン2020より)
鼻粘膜変性手術(下鼻甲介粘膜焼灼術など)
下鼻甲介粘膜を変性することで症状の発現を抑制します。
鼻腔形態改善手術(内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型、内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型など)
粘膜や骨・軟骨を切除することで鼻閉改善を目的とした手術です。
鼻漏改善手術(経鼻的翼突管神経切断術など)
鼻漏分泌神経の処置をすることで鼻漏の抑制を目的とした手術です。