上の歯（上顎歯）の根っこの先端は上顎洞（副鼻腔の空洞の1つ）の底面に近接しています。
そのため、それらの歯で虫歯や歯周病が進行すると上顎洞に炎症が広がることがあります。
これを歯性上顎洞炎と呼びます。
さらに他の副鼻腔へ炎症が広がることもあります。
歯性上顎洞炎では鼻水、鼻づまり、悪臭、頬の痛み（頬部痛）などの症状が出現します。
検査
鼻鏡や鼻咽腔内視鏡（ファイバースコープ）で膿性鼻汁や鼻茸（ポリープ）を認めた場合、副鼻腔炎を疑います。
CTによる画像検査で、上顎洞炎を認めるとともに、上顎歯の根っこ周囲の骨が溶けて上顎洞につながっていることが確認できれば、歯性上顎洞炎の診断がつきます。
治療
歯科治療
原因となる歯を抜く（抜歯）が第一選択となりますが、歯を温存するために根管治療や歯根端切除が行われることもあります。
歯科でご相談していただきます。
耳鼻咽喉科治療
歯科治療と並行して、慢性副鼻腔炎の内服治療（マクロライド系抗菌剤の少量持続投与など）を行います。
抜歯後も上顎洞炎が改善しない場合には副鼻腔炎の手術（内視鏡下鼻副鼻腔手術）を行います。
根管治療や歯根端切除が行われた後も上顎洞炎が改善しない場合には抜歯の適応となりますが、歯の温存を希望される場合に副鼻腔炎の手術（内視鏡下鼻副鼻腔手術）を先行することもあります。
しかし、原因は歯にあるため再発の可能性はあり、経過によってやはり抜歯が必要となることもあります。
