睡眠時無呼吸症候群は眠り出すと呼吸が止まってしまう病気です。
呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下するため、目が覚めて再び呼吸し始めますが、眠り出すとまた止まってしまいます。
これを一晩中繰り返すため、深い睡眠がとれなくなり、日中に強い眠気が出現します。
酸素濃度が下がるため、これを補うために心臓の働きが強まり、高血圧となります。
酸素濃度の低下により動脈硬化も進み、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。
さらに睡眠不足によるストレスにより、血糖値やコレステロール値が高くなり、さまざまな生活習慣病やメタボリック・シンドロームが引き起こされます。
原因
睡眠中に空気の通り道である上気道が狭くなったり、閉塞したりすることによって発症します。
健常人であっても仰向けで寝ると重力により、舌や軟口蓋が気道を狭くしてしまいます。
また睡眠という状態では、舌を持ち上げて気道を保とうとする筋の緊張も緩んでしまいます。
筋力の低下、舌が重い、顎が後退している、扁桃肥大がある、軟口蓋が長いといったことでも気道が狭くなったり、塞がったりしやすくなります。
また口呼吸になっていると舌は落ち込みやすくなります。
検査
簡易モニター
携帯用の医療機器を用いて自宅で行います。
空気の流れを感知するセンサーを鼻の下に、血液中の酸素濃度を測る機器を指に装着した状態で眠り、睡眠中の呼吸状態や上気道の狭窄の有無を評価する検査です。
終夜睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)
医療機関に入院した上で行う精密検査です。
脳波や心電図、眼球や胸の動き、口と鼻の空気の流れ、血液中の酸素濃度を測るセンサーを装着した状態で眠り、睡眠中の質や呼吸状態をより詳しく評価します。
治療
1時間あたりの無呼吸や低呼吸の回数(AHI)が20回以上のケースでは、睡眠中にマスクから強制的に空気を送り込んで狭くなった気道を広げる経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)が行われます。
また鼻中隔彎曲症などによる鼻づまり(鼻閉)がある場合に鼻手術を行うこともあります。
睡眠時無呼吸症候群 セルフチェック!
- 毎晩大きないびきをかきますか?
- 「睡眠中に呼吸が止まっていた」と指摘されたことがありますか?
- 昼間、眠くなることがありますか?
- 居眠り運転をしそうになることがよくありますか?
- 会議中にうとうとしてしまうことがよくありますか?
- 朝起きたとき、寝たはずなのに疲れが残っている感じや頭重感、頭痛がありますか?
- 若い頃より体重が増えて顔つきが変わったと言われますか?
- メタボリックシンドロームの傾向はありますか?
当てはまる症状が多いと、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。
気になる症状がある方は、まずは医療機関を受診してください。