副鼻腔真菌症はカビ(真菌)が原因で起こる副鼻腔炎です。
副鼻腔真菌症は病態的に、重篤な症状を呈する浸潤型と、限局した病変を呈する非浸潤型に大別されます。
また真菌の抗原性によって発症するアレルギー性真菌性副鼻腔炎が、新たなカテゴリーとして加わりました。
副鼻腔真菌症の種類
①非浸潤型副鼻腔真菌症
非浸潤型は副鼻腔真菌症の中では最も発生頻度が高いタイプです。
長期にわたり放置されていて偶然発見されることも少なくありません。
一般的な症状は、膿性鼻汁、後鼻漏、頭痛や頬部痛などです。
②浸潤型副鼻腔真菌症
眼窩内、頭蓋内、内頸動脈、海綿状脈洞など周囲組織への浸潤を伴い、致死的となる疾患です。
症状として、高度な頭痛や、急激に進行する視力障害、真菌の浸潤部位に応じた脳神経症状などが出現します。
③アレルギー性真菌性副鼻腔真菌症
真菌に対するアレルギー反応により発症し、副鼻腔粘膜や鼻茸(ポリープ)中に好酸球浸潤が認められる、再発率の高い難治性副鼻腔炎です。
黄色いニカワ状の粘り気のある鼻水など好酸球性副鼻腔炎に類似した症状を認めます。
治療
①非浸潤型副鼻腔真菌症
非浸潤型副鼻腔真菌症の場合は、内視鏡下鼻内副鼻腔手術により病巣である副鼻腔を開放して、真菌塊を除去します。
②浸潤型副鼻腔真菌症
浸潤型副鼻腔真菌症では、手術による病巣の徹底的な除去と、抗真菌薬の全身投与を行います。
しかし実際には、診断された時点で病変の全摘出は困難であることも少なくありません。
③アレルギー性真菌性副鼻腔真菌症
アレルギー性真菌性副鼻腔真菌症の治療は、現在のところ手術療法が第一選択で、術後のステロイド全身投与が有効とされています。
好酸球性副鼻腔炎と同様に再発をきたすことが多く、長期の経過観察が必要です。