花粉症は日本人の約4人に1人がかかっている疾患で、一度発症すると治ることが少ないため今後も患者数は増えていくと考えられます。
今まで花粉症にかかっていないから大丈夫という方も油断大敵です。
この現代病ともいえる花粉症にどのように付き合っていけば良いのか、治療や対策の解説を行います。
花粉症の治療
①薬物療法
最も一般的な治療法で、鼻炎に関連する諸症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)を緩和します。主な治療薬としては、以下のようなものがあります。
- 抗ヒスタミン薬
- 抗ロイコトリエン受容体拮抗薬
- 鼻噴霧用ステロイド薬
これらの薬は、症状が出始めたら早めに服用することが大切です。
「初期治療」を行うことで、症状の重症化を防ぐことができます。
②舌下免疫療法
舌下免疫療法は、アレルゲン免疫療法(減感作療法)の一種で、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく治療法です。
現在、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんが治療を受けることができます。
ただし、治療期間が3~5年と、根気のいる治療になります。
③手術療法
アレルギー性鼻炎を治癒させる治療ではありませんが、鼻炎に関連する諸症状を強く抑制することができます。
薬物療法で十分な効果が出ない場合、鼻腔形態異常を伴う場合に適応となります。
患者さんのニーズや社会的背景(受験や出産など)によっても手術適応を考慮します。
>アレルギー性鼻炎に対する手術療法についてはこちらをご覧ください。
④その他
鼻づまりの症状緩和には、入浴や蒸しタオルも有効です。
花粉症の対策
「もし花粉症の症状が出なければ」、「今よりも症状が軽ければ」とお悩みの方も多いと思います。
実は毎年花粉症に悩まされている方でも、早めに服用を開始することで症状を軽減することができます。
花粉飛散開始日(岡山県では2月上旬に飛散開始が予測されています。)またはそれ以前で症状が出始めた時(花粉飛散開始日以前でも少量ながら花粉は飛んでいます。)から服用を開始することをおすすめします。
日常における花粉症対策
- 花粉情報に注意する。
- 花粉の多いときの外出は控える。外出時にマスク、メガネを使う。
外出時にマスクやメガネ(アレルギー性結膜炎に対して)を着用することで症状を軽減させることができます。最近では花粉症対策のメガネも登場しております。 - 表面がけばだった毛織物などのコートの使用は避ける。
- 帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
- 飛散の多い時は窓、戸を閉めておく、換気時の窓は小さく開け、短時間にとどめる。
- 飛散の多い時のふとんや洗濯物の外干しは避ける。
- 掃除を励行する。特に窓際を念入りに掃除する。